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短編歴史小説 信長の夢

天正10年(1582)の5月、毎晩のように同じ悪夢にうなされ、不眠症の織田信長は悪夢から解放されるために、とんでもない事を考えて実行に移します。

   

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12.本能寺のお茶会

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漢作・大名物写 初花肩衝



 五月二十九日、信長は、安土の留守を蒲生賢秀(がもうかたひで)に任せて、雨の降る中、側室の小吉と百人程の兵を引き連れて京都の本能寺に入った。小姓たちに明日のお茶会の準備を命じると、信長は小吉と一緒に奥の間に入った。

 いよいよ、あさっての未明、信長はここで死ぬのだ。世間の者たちの騒ぎ振りが見物(みもの)だった。信長は浮き浮きしていた。

 次の日、公家衆や僧侶らが大勢、信長の上洛を祝って本能寺に詰め掛けた。信長は機嫌よく彼らを迎え、自慢の茶道具を披露して盛大なお茶会を催した。相変わらず、勅使が将軍になる事を承諾してくれと迫ったが、信長は返事をしなかった。そんな肩書など、今の信長にはまったく用のないものだった。

 日が暮れる頃、客たちが引き上げると、信長は妙覚寺にいる長男、信忠を呼び、酒を飲みながら親子水入らずで楽しく語り合った。

 わしが死んだ後、織田家の事は頼むぞ、と心の中で言ったが、目の前にいる信忠はどうも頼りなかった。

 信忠が帰った後、本因坊(ほんいんぼう)を相手に囲碁を楽しみ、深夜になって小吉の待つ奥の間に戻った。奥の間には、すでに西之坊が待っていた。

「もう、行くのか?」と信長は聞いた。

「明智の兵はすでに老(おい)の坂を越え、沓掛(くつかけ)辺りに来ております。そろそろ抜け出しませんと、戦に巻き込まれるやもしれません」

「ほう、もう沓掛まで来ておるのか。相変わらず、せっかちな奴じゃ」

 信長と小吉は西之坊の案内で本能寺を抜け出し、京都から姿を消した。

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